投資候補先企業の経営者やIR担当者と面談をし、企業のマネージメント能力などを定性的な観点から判断する。
株式ロング・ショートでは、運用者が銘柄選定に強い自信があれば、ポジション構築の際にレパレッジを利用することもある。
また株式ロング・ショートでは、ショート・ポジション構築によって得られる現金で、さらにロング・ポジションを積み増すことも可能となる。
株式ロング・ショートの最大のリスクは銘柄選びの巧拙である。
運用者は、投資対象となる企業について綿密な調査を実施するが、調査結果を基に構築したポ−トフォリオが、必ずしも報われるとは限らない。
特にショート・セリングについては、ロングと異なり、理論上は損失が無限大に拡大する。
このため、株式ロング・ショートでは、伝統的なロング・オンリーよりも慎重なリスク管理が求められる。
にし、下落相場ではネット・ロングの規模を小さくし、場合によってはネット・ショートにしてリターンを追及する。
株式ロング・ショートのリターンの違いは、運用者によるエクスポ−ジャ−の調整次第という意見もある。
市場全体の動きに対して、運用者がポートフォリオを機動的にあわせていかなければ、たとえ大きく上昇した銘柄を的中させたとしても、ファンド全体で成功することは難しい。
そこで株式ロング・ショートでは、特定のポジションがファンド全体のリターンに致命的なダメージを与えないように、銘柄一つあたりのポジションに制限を課すことが多い。
理屈上こうした利点があるとはいえ、株式ロング・ショートの運用者が理屈どおりに銘柄を正しく選定できるとは限らない。
運用者は各種調査を踏まえて、ロングにすべき銘柄、ショートにすべき銘柄を適切に選び出す能力が求められるが、その能力次第でリターンは大きく左右される。
このため、投資家が株式ロング・ショートのファンドを選別することは、運用者を選別することと同義ともいえる。
運用者の能力を精査するうえでのポイントは、運用者の調査・運用経歴、投資プロセス、リスク管理、パフォーマンスなど数多い。
株式ロング・ショートの購入に際しては、こうした点に注意して運用者を選定し、足元のファンドのリターンが、運用者の実力によるものなのか、それとも運・不運の類なのかを見極める必要がある。
また株式ロング・ショートでは、ロング・ポジションにレパレッジをかけて、上昇相場の恩恵を拡大させる場合もある。
ただし、これも運用者の銘柄選定能力によるところがあり、レパレッジをかけることで損失が巨大化するリスクも大きくなる。
株式市場ニュートラルは、ポ−トフォリオにおいて、ロング・ポジションとショート・ポジションをほぼ同額で持ち、市場全体の上下変動を中立(ニュートラル)化する戦略である。
ロング・ポジションでは、株価が上昇すると見込まれる銘柄を組み入れる一方で、ショート・ポジションでは、値下がりが見込まれる銘柄、もしくは株式市場指数の先物やオプションを組み入れる。
またファンドによっては、リターンの拡大を狙ってレパレッジを活用することもある。
株式市場ニュートラルのリターンは、市場全体の変動に対するリスク(市場リスク)からではなく、銘柄選択(ストック・ぜツキング)能力から創出される。
たとえば、伝統的な株式ロング・オンリー戦略の場合、運用者が銘柄選びに失敗したとしても、株式市場全体が上昇していれば、ファンドの絶対的リターンはプラスになるだろう。
しかし、株式市場ニュートラルの場合、同額であるため、市場全体が上昇し、ロングとショートの比率がほぼロング・ポジションの銘柄で利益が生じても、ショート・ポジションの銘柄で損失が発生するので、ファンド全体では利益が生じない。
株式市場ニュートラルは、あくまでロング・ポジションの値上がり幅と、ショート・ポジションの値下がり幅のスプレッドから利益が生み出される。
株式市場ニュートラルは、数多くあるヘッジファンドの戦略の中でも、(変動幅)が小さく、近年では安定的な戦略の一つとして注目が集まっている。
株式市場ニュートラルのポ−トフォリオは、数多くのロング・ポジシヨンとショート・ポジションで構成されるが、ロングとショートの組み合わせ方法については「ベア・トレード」と呼ばれるコンビネーションがよく用いられる。
ベア・トレードとは、同一業種でほぼ同じ規模の企業を2社選び出し、ベアを作ることを意味する。
その際、業種内で競争優位な企業(株価が上昇すると見込まれる銘柄)をロングにし、その一方で、競争に敗れると思われる企業(株価が下落すると見込まれる銘柄)をショート・セリングすることで、銘柄のベアを組む。
そして、市場リスクを可能な限り中立化することを目的に、いくつもの業種においてこのようなベアを作り出し、市場リスクや業種リスクを相殺する。
銘柄選択は、企業のフアンダメンタル調査に加え、多変数回帰モデルといった計量モデルも利用し、ポートフォリオ全体のリスクとリターンの最適化を図る。
株式市場ニュートラルでは、リスク管理が非常に重要な位置を占めている。
株式市場ニュートラルの巧拙は、「高いリターンを維持したまま、市場リスクを中立化し、ポートフォリオ全体のリスクをいかに限定的にできるか」という点にかかっている。
株式市場ニュートラルで用いられる計量モデルは、作成するまでに多大な時間を要するが、一度完成すれば、ポ−トフォリオの最適化作業を短時間で終了することを可能にする。
計量モデルでは、まず株式市場のほぼ全ての銘柄について、株価のヒストリカルデ−タや、金利、通貨、経済成長率といった経済変数が入力される。
そして、各銘柄の株価を決定する要因を多変数回帰分析から抽出し、株価を予想する計量モデルを構築する。
その後、モデルにおいて理論株価と現実の株価の講離から相対的に過大評価されている銘柄と過小評価されている銘柄を選び出す。
この結果をもとに、過大評価・過小評価の銘柄コンビネーションを数多く作り出すことになる。
これによって、市場リスクを中立化したまま、ポートフォリオ全体のリスクを限定し、なおかつ高いリターンを生み出すポートフォリオを構築することが可能となる。
株式市場ニュートラルでは、計量モデルを利用していることもあって、大量のデ−タを駆使して、数多くのポジションをとる傾向にある。
こうすることで、個々のポジションの規模は小さくなり、仮にある特定のポジションで損失が発生したとしても、ポートフォリオ全体におよぼす影響を限定的なものにする。
株式市場ニュートラルで投資対象となる銘柄は、基本的には流動性の高い大型銘柄が中心である。
また運用を行う際、ショート・ポジションも必要となるが、たとえ世界一流動性があるとされる米国株式市場であっても、全ての銘柄を自由にショート・セリングできるわけではない。
そのため、投資対象となる銘柄の流動性を調査し、コストをかけずに自由に借りるといったことが難しい中小型銘柄などについては、(仮にモデルでは最適な銘柄だとしても)ポ−トフォリオの中に組み込むのを避ける。
株式市場ニュートラルは「市場全体の動向よりも、個々の銘柄動向の方がより正確に把握できるだろう」という前提のもとで運用されている。
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